リチウムイオン二次電池用高容量電極材料の作製

1. 高容量Sn系負極の開発

Sn負極は、その放電容量が現行のグラファイト電極の約2.7倍と大きく、次世代リチウムイオン電池の負極として期待されています。しかし、充放電時の体積変化が大きいため、充放電を繰り返すと電極の剥離、粉末化などがおこってしまいます。そこで、サイクル特性の改善が求められています。
体積膨張を抑える効果のあるNiを加えたSn-Ni合金を用いて、三次元構造規則体(3DOM)を作製し、さらにそれをドメイン化することで、Sn系負極のサイクル特性の向上を試みています。

図1 ドメイン化された3DOM Sn-Ni負極

2. 水熱合成法を利用した新規正極材料の作製

水熱合成とは、高温高圧の熱水の存在下で行われる化合物の合成で、常温常圧では水に溶けない物質も容易に溶解するため、通常は得られないような物質の合成、成長が可能になります。我々は、これまでにカーボンコートされLiFePO4の合成に成功しています。現在は、Fe系以外のリン酸塩系正極(Mn、Coなど)の合成も試みています。

図2 カーボンコートされたLiFePO4正極